【短編】じゃんけん王

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     決定

(1回目、2回目、3回目は、何を出してもあいこにする。その後は、の繰り返し)



(負けパターン)

彼は、和紀との対戦時も決して視線を合わす事はなかった。
そして勝負がついたその瞬間、口角だけを微妙に吊り上げ、笑っているのかどうかさえわからない態度で和紀に、握手を求めていた!





やはり和紀にとって、もっとも読みにくいタイプの人種だった。いや、そう感じていたからこそ、読むことが出来なかったのか? 
この12回戦まで採用される敗者復活戦も、その堂堂巡りが頭から離れず、呆気なく敗れた。

そして明確な答えも見つからないまま、じゃんけんゲームはここで終わりを告げた。
今日の朝に見たあの夢は、正夢ではなかったらしい…



そして東京ドームの回転扉に押し出された時、名残惜しさに思わず振り返った。そしてその回転扉が回る度に何度も写し出される茫然とした自分の姿を見た時、自分が自分ではなかったような奇妙な感覚にとらわれた!



FIN



(勝ちパターン)

和紀との対戦時も決して、視線を合わす事はなかったが、負けた瞬間、メガネ越しに鋭い視線で和紀を睨んだ…
しかしすぐに死んだ魚の目のようになってしまい、やはり何か独り言を呟きながら、口角にぶくぶくと泡を溜め、人の波の中へと消えていった…



…と思いきや、敗者復活戦で、勝ち残るのはこの男だった。

めがね男は復活を誓いながら、‘ターゲットはおまえだ’といわんばかりの射ぬくような陰湿な鋭い目で、和紀の背中を睨んでいた。
口元には薄ら笑いを浮かべながら…
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