ヤクザに愛された女 壱


「………」


あたしはその男に付いて
行こうか迷ったけど、


家には帰りたくないし、
いくとこもないので、


結局付いて行った。


「…乗れ」


少し歩くと黒塗りの車の前で
男がダルそうに待っていた。


「…え…」


開かれた後ろのドアに
戸惑いながら男を見ると、


「なんもしねぇよ」


冷たい表情のままあたしを見ていた。


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