オトナな初恋

お昼休みに食堂で、奈緒に土曜日の出来事を、話した。


『すごい！関口主任と！？ツイてるね！』


奈緒は興奮しながら言った

「でも、早坂主任が、あんな性格だなんて。関口主任の傘だったら返しやすかったのにな…」


お弁当を食べながら答える。


『ん、でも送ってはくれなかったけど、傘貸してくれたんでしょ？口は悪くても良い人なんじゃない？』


「でも、“自惚れるな”は酷いよ。誰だか判るまですごく怖かったんだから…」

『うんうん。確かにそれは怖いよね。女の子にしか判らないもん、その怖さって。』


「でしょ？」


『でも声掛けられてたのに気付かなかったのは、亜希も、悪いんじゃない？』


「えっ私が悪い？」


『結構前から声掛けてたって関口主任、言ってたんだよね？』


「うん。」


『それ相当前からだったんじゃないの？なのに気付いたと思ったら、ナンパ扱いって…ね？』


「だ、だってほんとに気付かなかったんだもの。」


『だからイライラしちゃっただけなんじゃない？』