オトナな初恋










『え―ッッ!!』


昼時のカフェ。店内にいる人達が一斉に私たちを見る。


「ちょっと奈緒!声大きいよ!」


周りを伺いながら、私は奈緒を宥める。


『だって!!まさかそこまで話が進んでるなんて!!』


「私もびっくりしてる。」

『何よ。人事みたいな言い方しちゃって。』


「そんなつもりじゃ…でもね?黙って帰って来ちゃったから、あれから顔合わせて無いし、まだ実感わかないっていうか…」


そう。まるで夢でもみてたんじゃないかな。なんて思ってしまったり。


『亜希はあと一押しが足りない!そこで起こして、朝ご飯一緒に食べましょ。とか言って、もう少し一緒にいれば、いやでも実感だってわくもんでしょ』


「勘弁してよ。昨日ので精一杯だったんだから!」


『ま、頑張った方か。それに、私との約束ちゃんと覚えててくれたみたいだしね?』


「当たり前だよ!だって彼との久し振りのデート服、買いに行きたいって言ってたじゃん!」


『うん。まあね。』


奈緒には、彼氏がいて、その彼は、出張が多い。出張から帰って来て、次の日にはまた出張。なんて事がよくあるらしい。


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