オトナな初恋
『うやむやって何の話?』


『早坂…』


握っていた手をパッと離す。


そんな光景を、入口のドアにもたれ掛かりながら、見ている拓海さん。


「あの…」


言いかけた私を手で制して、関口主任は拓海さんに向かって行く。





『ごめんッ!』


そう頭を下げた関口主任。

『…いいんだ。俺もお前が桜井の事気になっているって、なんとなく気付いていたし…
あの件はこれで終わりにしよう。』



『…ありがとう。
泣かせたりするなよ?僕は、亜希ちゃんの味方だってわすれないで。』


私を見ながら微笑む関口主任。


『わかってるよ。』



『あ、あと、仕事中はイチャイチャしないでね?
そんな空気出されたら、たまったもんじゃないしね。』



『あほ。仕事は仕事だ。そんな事するか!』



『なら、いいけど?
さて、仕事、仕事。』



『桜井、頼んでた書類、もう出来たか?』




「は、はい!そこに置いてあります。」


指さす方を 見て仕事に戻る拓海さん。






私も仕事しなくちゃ。


仕事は、仕事。
恋愛は、恋愛。

気持ちを切り換えて
両方とも、頑張ろう。








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