出会いは密室で[完]
もうちょっと
愛想良くしてくれてもいいのに...。
切り出す話題も見つからず、
あたしは近くの本棚に寄りかかった。
8時半か…。
寄りかかった拍子に
見えた時計には、そう示されていた。
今頃お母さん、
心配してるんだろうなぁ...。
「あんたは?」
「へっ?」
不意打ちに聞こえた
桐野くんの低い声に、
裏返る声。
「名前。」
「あぁ、田嶋優科...です」
「ふーん...」
会話終了ー…。
ほんとにこんな人と
一晩中一緒に過ごすの…?