管理人Ｃ

地上へ

管理室へ

「何が地上に出れるだ。断崖絶壁じゃねぇか」

とAがぼやく
「管理室から地上に行くしかないか…」
Dも残念そうに言う。
「まあ、残りの質問は何かあった時のために保留にするとして、なかなか楽しい休暇だったな」
「はぁ…」

「また明日から、仕事が始まるぜ。景気付けに一杯やろうじゃねぇか」
Aはのんきに、管理室にある冷蔵庫からビールを取り出して、コップに注ぐ。そういばこのビール、誰が買ってきたのだろう。ああ、そうだった。Aが電話で注文したんだっけ。
「このビールを注文した時に、ドアをおさえて地上に出れるでしょうか？」

「駄目だな。注文しても、地下側の扉からくる。」

「なぁ、本当に地上へ行く必要なんて、あるのか？」

「それはどういう意味で？」

「いやさ、おれの場合、別に今の生活に不自由していないから、あまり地上に行きたいと思わねぇんだ。ビールだって、数量は決まっているがただで飲めるし。ほしいものはたいてい、てにはいるだろ？」

「地上では、お金がなければ何もできないですからね。この、下水道の匂いもなれてきましたし。」