藍色の砂



『兄貴は?』



『ん……これから家行くわ。』



ズキッと胸が痛む。
昨日押しかけた、咲妃さんの家。
泣きそうな咲妃さんの顔が
また浮かんだ。



『そっか。じゃあまた。』



ボクと村上は駅に向かい歩いてく。



手を振る兄貴も、ボクたちに
背を向けて歩き出した。
あのネックレスを渡しに。
『結婚しよう』と告げに。



この時のボクの心境を
わかってもらえるだろうか?
『兄貴と結婚するな!』と
言えなかったボクの気持ちが。



見ないフリして目を背けたボクを
キミが理解してくれる日はくる?



まだキミの気持ちは聞いてない。
だからわからない。
キミの声がないと
動けないんだよボクは。



情けない?幻滅しちゃう?
それとも始めからその気などない?



キミがもしもボクを選んでくれるなら
今すぐにでも駆けつける。
例え兄貴と鉢合わせしてもね。



ただ今は、
何も出来ない弱いボクだけど…………。











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