チョコレート王子とコーヒーお姫様
顔を上げて、ちらりと美羽ちゃんを見ると私に微笑んでくれた。
「なぁ、沙紀。その大阪人は、どんな奴なんだ?」
神崎君を押しのけ、私の横に来た律ちゃん。
私は戒斗をどう説明しようか迷ったけど……。
「生まれも育ちもバリバリ大阪の男の子」
と言うしかない。
すると、ピクッて律ちゃんと神崎君が反応した。
一体、どうして?
「沙紀の家に来るのは、知り合いなんでしょ?」
「うん」
「男の子の?」
「そうだよ」
「その男の子は泊まるの?」
「…うん。幼なじみだから止めてあげないと……」
私は苦笑いをして見せると、美羽ちゃんは、はぁとため息をついた。
(何か悪いこと言ったかな…)
美羽ちゃんがため息をつくと不安になる。
「沙紀、襲われそうになったらアタシに電話して」
そう言いながら、どこからか取り出した紙にスラスラと自分の番号を書く美羽ちゃん。
「はい、アタシの電話番号。一応、律の番号も書いておいたからね」
「え…でも、襲われそうになったらって…どうゆう」
「キスされそうになったりとか、押し倒された時よ」
「…………」
私は受け取った紙を胸ポケットに入れる。
そして、美羽ちゃんの目を見て言った。
「そんなことないって…!それに私とキスしたいなんて思う人、誰もいないよっ…」