チョコレート王子とコーヒーお姫様
「あれっ?眼鏡がない…!」
私は慌ててポケットの中をひっくり返した。
けど、出て来るのはゴミだけだった。
そういえば、クラスの皆からいっぱい見られてたような……。
それは眼鏡がなかったからなのか…。
「どうした?なんか問題があるのか?」
「馬鹿?眼鏡がないんだって」
「マジか!どっかに置き忘れたんじゃねぇのか?」
私が慌てているのを見て、2人が心配……しているかのように接してくれた。
長身の女の子は、見かけは凄く怖そうなのに、いろいろと心配してきてくれる。
一方、パーマの女の子は冷静で特に何も言ってこなかった。
ちょっと、以外。
って、それどころじゃない!
眼鏡だ、眼鏡!
だいたい、今まで視界がぼやけてたのに、気づかない私って…。
確か今日、眼鏡を外したのは……
「あっ、屋上だ」
私は屋上に眼鏡を置いたまま、放置にしていたのを思い出した。
あーあ、なんで忘れるかな、もう……。
「すみません、迷惑をかけてしまって…。眼鏡は、屋上に……って、あれ?」
「あの子ならもう行ったよ」
私が気づいた時には、あの長身の女の子はすでに目の前から消え、パーマの女の子だけが残っていた。
え……?
行動、早くない?
「アイツ、馬鹿で単純だから。――眼鏡、屋上にあるの?」
「あ、はい…」
「でも、盗まれてたら終わりだね」
「大丈夫だと思います。私の眼鏡、そんな高価なものじゃないですし……」
「ははは。お前、面白いね」
あ、可愛い……。
私の前で初めてパーマの女の子が笑った。
その笑顔はとっても可愛くて、まさに女の子って感じがした。