遊び人な彼に恋しました。


――カタッ



その時、微かに聞こえた物音


ハッとして唇は離し、その音の方を見て……目が離せなくなった



「さく……ら」


「は……る…」



少し頬を赤く染め、頬には綺麗な涙がつたっていた



そして、そんなさくらを抱きしめるようにして隣に立っている男



「さく…「さくら。帰るぞ」


「えっ……」



っ……


『さくら』そう馴れ馴れしく呼び捨てする男に、イラッとした


「あ、あの…「いいから。家まで送る」



その男の発言、一つひとつに、嫉妬心が強くなる



俺の横を通りすぎ、さくらがローファーを靴箱から取り出した


「さくら……」



俺の横にきたさくらは、頬は赤いのに、唇とかの色合いがいつもより悪く思えた



「顔色、悪くないか?」



そう言って、おでこに手を伸ばした



「風邪でも…「触んないでくれる」


えっ……


「さくらはちゃんと家まで俺が送って行くから、安心してよ。」



さくらを送って行くのが、あたかも当たり前だと言うような口調でそう言ってきた男



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