遊び人な彼に恋しました。


「さあさあ、彼氏さんも家に上がってもらって……って!春くんじゃない!?」


気づくの遅っ!!


まぁ、小百合さんらしいか……


「お久し振りです」


ペコッと頭を下げると、大きな瞳をさらに大きくして嬉しそうに笑う小百合さん。


「もぉっ!!さくらちゃん!なんで教えてくれなかったの!?」


「あっ……つい」


確かにわざわざ報告ってのも、なんか気が引けるしな……


「お久し振りだね。春くん」


「……お久し振りです」


「やだな~。そんな顔で見ないでくれよ。誤解はちゃんと解けてるんだろ?」


和樹さんの余裕な笑み。


「えぇ―っ!!なんで和樹が春くんを知ってるの!?」


「まぁ、いろいろあってね」


えぇ、いろいろとありましたさ。

きっとこの人はわざと誤解させるようにあの時、さくらと俺の間に割って入ってきたんだ。


理由は……


「でもよかった。自分の気持ちにちゃんと気づいたみたいで」


俺の気持ちを感づいていたからなんだろう……


「もぉっ―!みんなしてあたしを仲間外れにしないでよ―っ!!」


「はいはい。小百合、とにかく家に上がるぞ。義母さんが待ってんだろ」


和樹さんが小百合さんを宥めるようにして、頭を撫でた。


< 258 / 339 >

この作品をシェア

pagetop