記憶の中で…


台所でお茶の用意をして、深呼吸を繰り返した。

すううーはああー

…緊張する。
やっぱり連れて来てまずかった…?
でもここまで来てもらって、話さない訳にはいかない。

よし!

自分で力(りき)を入れて部屋に戻った。


扉を開けると、彼はベッド脇に置いてあるフォトスタンドを手に取っていて、私が戻ったのも気が付いていないみたいだった。

「写真、…気になるんだね。」

振り返った彼が見てたのは夏樹と私のツーショット。

幼稚園の頃のもので、夏樹は満面の笑みで、私は上目遣いで夏樹を睨んでる。

何でこんな顔をしてるのか今はもう忘れちゃったけど、これが一番好きな夏樹の顔。

「先に何でこの子の写真が気になるのか教えてくれない?」

「……。」

「……。」

「見たことあるような…ないような…わかんねえや。」

「そう。じゃあ私の話聞いて?」

ゆっくり息を吸って話し出した。




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