天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
まだ早朝のひんやりした空気の中、山道を歩く一行。

緑が爽やかに薫り、木々を抜ける風が夏の暑ささえ感じさせない。

「山でキャンプっていうから、きつい勾配や気温で汗かくのは覚悟していたんだけど…」

芽々が大きく深呼吸する。

「意外と涼しくて気持ちいいものね。夏の山も悪くないかも」

「俺ぁ山育ちだからよ」

流暢なべらんめぇ口調で宜虎が言う。

「暑い時期こそ高ぇ山に登って涼んだもんだぜ。知っての通り標高が高ぇほど気温も下がるからな。暑いのに山登りなんて…とか言う奴ぁ、山の良さをよく知らねぇんだよ」

「……」

カカカッと陽気に笑う宜虎の後ろ姿を見ながら、芽々が隣を歩く小夜に耳打ちする。

「宜虎君ってさ、ちょっと丹下君に似てるよね」

「!」

意中の相手の名前を出されて、小夜がビックリしたように目を丸くした。

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