君星
な、なんだこの人…ほんとに
こっちはすっごい心配してたっていうのに…
呆然とする私なんか構わない様子で
「名前は?」
なんて聞いてくる。
ほんとにこの人は…
「榎本、柚子です。」
答えっちゃってる私も私だけど;
「へぇ。柚子、ね。」
よっ、と声をもらして彼は立ち上がって、ブレザーについた芝を払ったかと思うと
「じゃあね、」
「あ、はい…」
な、なんだあの人…
なんだあのマイペース…
遠ざかって行く彼の背中を見ながら、呆然とそのばに座り込んでいた。