手の届く距離で
「これだよこれ〜!」


「どれ?」


「超カッコイイだろ!」


「そうかぁ?」


「別にいいよ!わかんねぇやつは!!」


流行りの時計の限定モデルだった。


店員を呼び、腕に巻いてもらい、また「ほら!良くね〜?!」とオレに問い掛けた。

「うん。いいんじゃん。」

取りあえず答えておいたが、実際は全く興味が無かった。


満足気なアツと、アメ横を後にした。


帰りの電車の中、オレから話を振ってみた。

「アツは好きなコとかいないの?」


「ぇえっ!?別にいない。」
「なんで?誰かオレのこと好きだって?」


「はっ!?そんなやついねぇよ。」
「て言うか居るわけねぇよ(笑)」


「バカ!オレ結構モテるんだよ!」
「最近無いけどな(笑)」
「ジュンはいいよなぁ〜。」
「千恵とウマくいってんの?」

「まあ普通だよ。」

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