その感情が尽きるまで
第一章
父が飲酒運転で人を跳ねて死なせた。
父はそのまま車を走らせ天国へ、多額の借金を背負った母もまた帰らぬ人となった。
残された私は今やっている水商売だけでは一生を掛けてもとても払え切れぬ多額の借金に途方に暮れていた。
父が死んでから母と引っ越してきた小さなボロアパートの一室で両親の遺影を眺めればまた今日も涙が溢れて嗚咽に変わる。

−死にたい。
思えば生まれてから良いことなんて殆どなかった。
生まれて20年間両親もトラブルメーカーだったし、友達もいないし、恋人だって出来たことのない寂しい人生なのに今まで死ねなかったのは自分が臆病だから。
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