王子様に恋して 番外編
結婚してから初めての外出で、どこから聞きつけたのか沿道には人々が集まり、パパラッチのバイクが蚊のように付いてくる。



特に交通を妨害するわけでもなく、彼らはわたし達の写真が欲しいから付いてくる。



「アル、車から降りて撮ってもらわない?」



出発したところで、車の両サイドを走ったり、後ろから付いてくるバイクを見て言った。



煌を膝に抱いているアルは、まるでわたしが宇宙人の言葉を話したかのようにポカンとなった。



対面に座っているアーレ兄弟もアルと同じ顔をしている。



「今なんて言った?」



アルが我に返り、口を開く。



「パパラッチの人たち、危ないし、ちょっと降りて撮られれば帰るんじゃないかな」



「とても素敵なジョークだね」



楽しそうに笑うアルに通じていないことが分かった。



「違うの、ジョークじゃないの!だって勝手に撮られて間抜けな顔をしていたら恥ずかしいから、だったらちゃんと撮ってもらえばいいと思ったの」



「撮ってもらえればいいって……」



アルが首を横に振りながらため息を吐いている。



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