嘘つきな恋
「空」
不意に呼ばれた名前に。
「なによっ!?」
今、涼太のせいでイライラなんですけど?
なんて、思いながら涼太を睨もうとしたら。
―――ちゅ
「……さっき顔が近くなったらしたくなった」
……知るか、バカ。
そんなに妙に真剣な顔で言わないでよ。
「空、真っ赤だよ?」
……知るか、バカ。
そんなに優しく笑わないでよ。
「……ムカつく。」
空が夕焼けで赤く染まる中で、あたしは小さな声で呟いた。