~color~


酷く、ずるい過ちをおかしていることは分かっている。

だけど、あたしの心はもう飛翔くんにあって


苦しくて、苦しくてたまらない。


もう2度と逢うことはないんだ……


そう思いながらメールに真実を打ち込んだ数時間前。


それなのに、飛翔くんはもう1度会って話したいと言ってくれた……


逢うことが怖い。


2度と姿を見せないと思っていた黄色い光を放つあたしのホタル……


黄色いランプがまたこうしてメールの受信を知らせてくれている。


飛翔くんだけのフォルダーにメールマークが付いているのを確認すると、あたしは慣れた手つきで押す




《ねぇ?まだ寝ない?》


《うん、寝ないけど……なんで?》


《メールしてないと俺……ダメだ……》


《うん、全然平気っまだ寝ないよ……》


飛翔くんからのメールは不安さを物語っていて、酷く傷ついているんだと思った。



また、あの悲しそうな瞳をさせてしまっているのだろう。


あたし達はメールのやり取りをいつも通り、外が明るくなるまでし続けた。


今日ばかりは、どちらからの〝おやすみ”という言葉を送らない。


繋がっていたい……


ただ、それだけのために、あたし達は必死に携帯を片手に文字を送りつづける。



これから先、どこへ向かうかなんて分からない、未来のないあたし達。


それでも必死に、繋がっていようとした。



外が明るくなっていくに連れて、あたしは眠気どころか、寝付けそうにもない。



飛翔くんは、あたしに会って何を話してくるのだろうか。



いつもよりちょっとだけぎこちないメールがどんどんあたしを不安に落とし入れる。





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