そして、今日もキミを想う。【完】
第4章 愛結
ⅰ.啓太の過去
病院で俺達はその女性に話を聞いた。
鏡川マリという名の彼女は、啓太が海に飛び込む瞬間を見かけ、咄嗟に自分も飛び込んだという。
「私、啓太の幼馴染なんです」
マリさんはベッドで目を閉じたままの、啓太を愛おしそうに見つめた。
啓太の意識はまだ戻らない。
詳しい話は知らないが、啓太は九州の出身だったと聞いたことがあった。
彼女はきっと、啓太が九州にいた頃の友人なのであろう。
「啓太はもうきっと覚えてないと思います」
悲しげな目で、彼女は苦笑いをした。