お伽話



「声に出とるわ、あほ」

笑いながら、私を見た。


「・・・帰ってこんけぇ、心配したんじゃ。」

最後まで言わすな、ぼけ

と付け加えて私の耳に届いた。


「小さい頃から、心配症だったよね。
面倒見良いってお母さんからよく褒められてたし」

そう、言えばこいつは少し切ない顔をする

「目離したら、なんするかわからん。」

でも、それは一瞬で、





前にも、こんな風に
話した気がする


前にも、コイツに




こんな顔させてしまった気がする

< 2 / 57 >

この作品をシェア

pagetop