白衣の天使
長い1日が終わり、ようやく自宅に着いたのは、夜中の3時。

当然マリアもロイドも眠っている。

「遅くなってごめんね。」

眠っているマリアの頭を撫で、カトレアも眠ろうと立ち上がった。その時

「ママ。」

振り返るとマリアが眠そうに目をこすっている。

「ごめんね。起こしちゃった?」

ロイドを起こさないように小言で言うと、マリアはカトレアにすりより、泣き出してしまった。

「どうしたの?怖い夢でも見たの?」

聞いてもマリアは泣き続けている。

カトレアもマリアを抱きしめるが、やはりこんなときでも同じ映像が頭に浮かんでくる。

「怖い夢を見たの。真っ黒いのに追いかけられるの・・・」


マリアの一言でカトレアは意を決したのである。

「もう大丈夫だからね。ママが何とかするから・・・今日はもうイイコで寝るのよ。」


そしてカトレアは家を飛び出した。


音を立てずに、そっと新生児室の扉が開く。

そこには『白衣の天使』と呼ばれている人物が、月明かりに照らされ立っていた。
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