白衣の天使


《私には『悪魔』を止める事ができなかった。・・・ごめんなさい》



「馬鹿馬鹿しい。」

そう言ってトッドは日記をクルクルっと丸め、ゴミ箱に投げ入れた。


丁度その頃、取り調べが終わったカトレアの姿があった。

「お世話になりました。」

トッドにお礼を言いにカトレアが近づいてきた。けれど

「この度は・・・」

何て言葉をかけて良いのか分からなかったトッドは、言葉につまってしまう。

「何かあったら連絡ください。すぐに駆けつけますから・・・」

家族を失ったカトレアに対して、トッドはそう答えるのが精一杯だったのだ。


警察署を出ると、暗い表情のカトレアを照らすかの様に、太陽が眩しく降り注いだ。

人と違う、この能力のせいで、全てを失ったカトレアの足取りは重く、心は闇に包まれている。

・・・と、誰もがそう思った。

けれど、決してそんな訳ではなく、逆にすっきりした表情をしていたのである。

そしてカトレアはその場に立ち止まり、右手をソッとお腹に当てて、こう呟いた。



「あなたは『天使』なの?『悪魔』なの?」








< 208 / 208 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:2

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

未来からの贈り物
マサル/著

総文字数/13,440

恋愛(その他)41ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop