白衣の天使
勝手に入って良いものかと悩みながらも

「失礼します。」

と、中を伺いながら入っていくカトレアだったが、外に居たのが全員だったみたいで建物の中はシ~ンと静まりかえっていた。


低い天井、歩くとギシギシいう細い廊下、木造の古い校舎、これら全てがカトレアの幼い頃の学校と類似していて、廊下越しに教室を見ながら物思いにふけっている。すると

「どうかしましたか?」

振り返るとカトレアの後ろにいつの間にか一人のおばあさんが立っていた。

窓から見える子供達の遊んでいる姿を遠い目で見ながら、カトレアが答えると

「楽しそうに遊んでいるでしょ?でもね、みんな何かしら心に傷がある子達なんです。夜、眠る時に泣き出してしまう子供もいて・・・。私たちには傷を消すことなんて出来ないですが、少しでも和らげてあげられたらなぁって・・・」

彼女は複雑でそして寂しそうな顔をしてそう言った。
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