【超短編】すきって言って

あれから1カ月が過ぎ、
私たちの間には
小さな距離ができ始めていた。

少し前まであんなにうれしかった
彼からのメールにも、
何も感じなくなってきて。
日常の会話では、
物足りなく感じる自分がいた。

もっと好きっていってほしい。
あなたの笑顔が見たい。
ぎゅってしてほしい。

そんなふうに、
だんだん欲張りになって、
・・・でもそんなこと言えなくて。

指先で打つ文字はいつも
“物分かりのいい自分”だった。

だってね、
君に嫌われるのがすごく怖かったんだ。


矛盾・・・してるよね。


< 4 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop