致死量カカオ

「ったく惚れっぽいな本当に、お前は」


ぱっと手を離した高城は、まだ不満そうな顔をしていた。豊海ちゃんはというと頬をさすっている。頬が真っ赤で涙目。本当に痛かったんだろうな……。


「惚れっぽいけど!死ぬほど好きなのは高城だけなのに!!惚れても身も心も全部高城に捧げるんだから!」


…………多分、豊海ちゃんは怒ってる。と、思う。
だけど何というか……それ?と思わず口に出そうになってしまう。

恥ずかしげもなく大声で何を、告白何てしてるの。
いや、でも廊下で告白するような子だし、これが普通なのかも知れない。


私にはとてもじゃないけど出来そうにないんだけど。

目の前の宮木達がにやにやと高城を見つめているのに気がついて、視線を高城に戻すと……。


高城は真っ赤な顔をして呆れた顔を作っていた。


……ほんと、バカじゃないのこの二人……。


はあっとため息をついて「じゃあねー」と手をひらひらと振って教室を後にした。

ほんと、付き合ってられない。


他の男の子に頬を赤らめるだけで怒り出す高城も高城。あんな風に彼女に嫉妬丸出しで、独占欲丸出しで怒るなんて知らなかった。


今までの彼女にそう接していればきっと、振られるようなことは今ほど多くなかったと思うんだけどなー。



でもきっと、相手が豊海ちゃんだからなんだろうな。
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