致死量カカオ

「授業終わったし、豊海迎えに行く?」

ホームルームが終わった後、鞄を肩に掛けた千恵子が俺の側に寄ってきて声を掛けた。

「あー……」

多分放っておいたらこのまま眠り続けるだろうことは俺も千恵子も気付いている。

俺たちの行動パターンだ。
いつも豊海中心。いつも3人で行動するばかり。

もちろん2人の時間も過ごしてはいるんだけど。それでも豊海も一緒にいられる状況の時は3人で一緒にいる方が多い。


けど。


「高城にメールしといてやるか」


きっと豊海は喜ぶだろう。
俺と千恵子に明日朝一番で文句を言うだろうけど、実際幸せなんだろ?

俺の言葉に千恵子も「だね」とにこっと微笑んだ。

良かったな、好きな奴と付き合えて。
正直俺にはそんなこと一生ないだろうとおもってたのに、ほんとすげーよ、豊海。


だけどどこかで思ってた。
俺とか、千恵子とか、豊海と離れられなくなる奴がこの世にはいるんだから、そんな希有な男もいるかもなって。

それを高城かどうか自信はなかったけど、まあ変な男だけど、良かったんだろうな。


「千恵子って、何で俺と付き合おうって思ったの?」

「え?!え、え!?」


ケータイをぽちぽちと打ちながら呟くと、千恵子はみるみるうちに頬を赤らめた。


「えーっと……豊海を、大事にしてて、見捨てないところが、いいなって?」


何で最後疑問系?
そう思ってくすっと笑った。

「帰ろうか」


パタン、と携帯電話を閉じて千恵子に手を差し出した。その手を見て、千恵子は嬉しそうに笑ってから、俺の手に自分の手を重ねる。

たまには2人で帰るっていうのもいいよなあ。

豊海がいるから俺らは付き合って。
豊海に彼氏ができたから、俺らはこうやって改めて2人で歩ける。

どれもこれも豊海の変なチョコレートアレルギーのおかげか。そう考えると癪だけど。

俺も千恵子もおかしいんだろうなー。
豊海といるから俺らもおかしくなったのかもなー。


ほんっと、バカなのに可愛いな豊海は。


そう言うと千恵子は「だから、私豊海のこと好きなの」って言った。


End
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