授けられた力・消えた記憶
そしてルイは、建物の近くの人気のない場所へ彼女を寝かせた。
瞬く星と、まぁるい月が2人を照らす。
月明かりに照らされた、その女性の、真っ白な肌…
透き通っていて、触れると、壊れてしまいそうだ。
そんな彼女を見ていると、長い睫が微かに動いた…
「ん…」
「!起きたみたいだな。大丈夫か?」
開かれた大きな瞳…
その瞳は澄んでいて…
何の淀みもなく、彼女の心を映すように、純粋な色だった…
「?あなたは…?」
ルイはその言葉を聞いて、動きを止めた。
目を覚ました時、目の前に知らない相手がいれば、そう言うのは当たり前だろう。
だが、その言葉でルイは動きを止めた訳ではなかった。
(その声は透き通っていた。俺の心を癒すように…)
そうルイは感じたからだ。
「?」
彼女は不思議そうに首を傾げ、ルイを見つめる。
動揺して、どうすればいいかわからないルイ。
彼はとっさにこう言った。
「!俺はルイ。旅をしている。」
と…
「ルイ…」
そう彼女は呟いた。そしてルイを見つめる。
反らす事はない、その綺麗な瞳…
「?」
その行動にルイは戸惑ったが、彼女を見つめ返した。
だが…
「……」
(俺は目をそらしていた。何故か、全てを見透かされそうで怖かった。)
そう感じたルイは、彼女から目を反らしたのだった…
再び彼女が声を出した。
「あなたはとても良い人ですね。」
首を少し傾けながら、可愛らしく笑いかける彼女。
突然のその言葉に、ルイは驚いたようだった。
「えっ?」
「目を見ればわかります。」
彼女は微笑んでそういった
可愛らしい、心を癒やすようなその笑顔…
ドキ…
その笑顔を見ると、何だか胸が苦しくて…
ドキドキと、鼓動が速まっていくのだった…