授けられた力・消えた記憶

ボーっと自分の手のひらを見つめていたカリン。
そんなカリンの名を誰かが呼ぶ。

 「カリン…」

それは、ルイ。
歩を進めていたルイは、足を止め、ゆっくりと青い瞳をこちらへと向ける。

 「!何…?」

驚くカリン。
恐る恐る訊く。


(何言い出すんや…ルイ…)
(何するつもり…?)


ルイの突然の行動に、不振に思う2人。静かにその様子を見つめる。


そしてルイの口から出た言葉は…

 「カリン…お前は何があっても、何があったとしても、俺達の、仲間だ。」

 「え…」

自分自身に言い聞かせるようなその言葉。
だが、その言葉は、カリンの心の悲しい物を消し去った。

 「俺はさっきお前を疑った。仲間としていけない事をした。すまない。」

 「…ルイ…」

カリンに頭を下げるルイ。
今の彼の青き瞳には、何の迷いもなく、ただただ、輝きを放っているように見えた…


 「そうや…俺達何やっとんやろな…」

 「そうよ…カリンはカリンじゃない。」

その強い瞳を見て、マイとイワンの2人の心の闇も消え去ったようで、いつもの顔に戻った。


 「みんな…」


そんな様子を見て、カリンは安心したようだ。


安心して、みんなが元に戻って、嬉しくて…涙が目に滲む。

悲しみの涙じゃない…

嬉しさの…喜びの涙…



仲間の鋳ることへの喜びの…

感謝の、涙…
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