すっぴん
 会社は、ビルの20階にある。

 フロアが広く、チーム・部署ごとにデスクが並んでいる。
 
 そらがいるチームは企画部の中の一部。

 若い人が多い部署だ。

 企画なのにバイトが多いのは、20代の意見を聞きたいというクライアントの要望に答える為。マーケティングも兼ねている。だから若い子や、バイトが多い。
 意見をそれぞれのクライアントに伝え、其れを参考にしてクライアントは商品開発をしたり、雑誌やフリーペーパーにしたりしている。クライアントにしてみれば、クレームも大事な意見となるので、いい意見・悪い意見どちらも必要としている訳だ。

 そのチームを仕切っている中の一人が、そらだ。

 チーム編成は20名くらいで、そのそらが居るチームを管理しているのは社員だが、その下にいるのが、そらと言う訳だ。バイトの中で、ミーティングに参加しているのはそらしかいない。今日の研修も管理している社員から頼まれていたことだ。



 「おはようございます」
 「おはようー」


 続々と人が集まってくる。

 会社には、バイトの他に派遣社員もいるが、特に仕事内容は変わらない。

 「そらおはよう!
 ミーティングの後、すぐ研修に入ってもらうから」

 声をかけてきたのは、そらが居るチームの管理をしている神田(かんだ)。
29歳だから、そらの1つ上だ。

 「神田さん おはようございます。」
 「悪いな、研修頼んじゃって」
 「いいえ、一日中やってるわけじゃないですし」
 「神田さーん、おれも出たいですよー」

 嵐が口を挟んできた。

 「嵐、お前出たって仕様が無いだろー?」
 「それ、さっきそらさんにも言われました・・」

 犬の様な顔をして見せるが、ただサボりたいだけだろうとそらは思っていた。



   時間はそろそろ10:00になろうとしていた。
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