ちゆまど―世界は全て君のために―


でもこれを着ろとわざわざ用意してくれたんだから着ないわけにも行かない。


マナーとして寝ていたベッドを軽く直していれば、窓が目に入る。


窓から見える景色は相変わらず夜だ。


近すぎる月に、咲き誇るバラの園。


一応はゆっくり寝たから、普通だったら朝になるんだろう。実際、さっき朝食とか言っていたし。


「ほんと、不思議だなぁ」


「これがババアの住処だからね」


いきなり声をかけられることには慣れた。


すぐ後ろにはシブリールさんがいた。


藍色の髪。整った顔立ちはこのバラの園よりも美しく見えるが。


「今日もかわいいねー、ユリウス。脱がせがいがある服、でっ」


変態だった。


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