ちゆまど―世界は全て君のために―


その笑顔は昔のままだと思った。一緒に手を繋いでいた時を思い出す。


「ユリウスは綺麗に育ったね、健康そうだし、美味しそうだよ」


笑顔裏にある真意に絶望を感じそうになる。


「私も食べるんですか……」


「もちろん。だって、父さんも母さんも“ここ”にいるんだ。君だけ仲間外れにするわけにもいかないだろう」


ここでお腹をさする手。


「みんな、家族で一つになろうよ。幸せだよ、さぞかし」


「間違っている……」


首を傾げる顔に言った。


「間違っている……!そんなことしなくても私たち家族は一つだったのに!」


「おかしいなぁ、だって体は別々なんだよ、どこが一つなのさ」


「体は別々でも心はいつも一つだったじゃないですか!父さんも母さんも、私だって……あなたを愛していた。みんなみんな愛していたのに……!」


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