ちゆまど―世界は全て君のために―
「切られたら致命傷だよぅ。こわいこわい。シィちゃん、なんとかして」
「ふん」
一歩前に出るシブリールさん。
【昇華しよう】
魔の狼がシブリールさんに向かうが。
「君たちの相手はこっち」
やけに軽い声で、向かってきた獣を一刀両断した。
強かった。獣に劣らぬスピードもそうだけど、骨まで断ち切るその腕力。
【流れろ、流れ。
自然の摂理を早めよう。有るべき姿を捨て、無くべき姿に保とうか】
シュヴァルツさんに守られながらの詠唱は迅速だった。
【湯気となれ、マイムの水も所詮は液体。摂理には抗えない】
「うわっ」
水が入った瓶を落とす騎士団たち。あつっ、との声もあがった。
落ちた水は地面に染み込まず、染み込む前に空気中に拡散した。