巡愛。〜ずっと傍にいて〜(仮)

だけど、健ちゃんは振り返らずに言った。



「人違いです。…行こう。」



「え…でも…。」



「行こう。」



健ちゃんの大きな手が私の手をぎゅっと掴んだ。


…少し痛い程に。


健ちゃんも…怖い…の…?


ただならぬ様子を感じて…私も健ちゃんの手を、ぎゅっと握り返した。


そして…それ以上は何も聞かず、家に帰ることにした。


怖かったのは…。


あの女の子に…健ちゃんを盗られてしまうんじゃないかって…。


それが、怖かったの。





< 36 / 121 >

この作品をシェア

pagetop