大嫌いで、大好きな君

no his life






昨日はアユムに送ってもらった。
あたしの右手にはアユムの左手があった。
2人で肩を並べて路地を歩いた。
夕日が2人の影を照らし出した。




アユムはわざわざあたしの家まで来てくれたんだ。
電車にのるのにね…。



「アユム、ありがと」



「それはこっちの台詞だよ」




アユムはすごい嬉しそうに笑った。
―――ズキン


その笑顔に少し心が痛んだ。
本当に喜んでくれるアユムの笑顔。
あたしはその笑顔に答えられるのかな?




「ゆう…?」



あ…、
あたし、つい悲しい顔してたかな?
そう思ったとき、



チュッ…
頬に触れたもの。
顔を上げるとアユムの恥ずかしそうな顔。



「じゃあ、また明日ね」




そういいかえるアユム。
ふいに、キュンとくる行動。
でもどうして、
頬にふれたら、指がぬれた。
あたし、また泣いちゃった…。
今度は、アユムの優しさが


――――嬉しくて…。
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