【短編】裏山の大木


どれぐらいたったのだろうか。いつの間にか、辺りは薄暗くなっていて、空もどんよりと雨雲の気配がしていた。



怖くなって木を下りた弘太郎は、目を見張った。


弘太郎は臆病で、たった1本の枝しか傷つけることができなかった。



…けれど、俊は違っていたのだ。俊は、たくさんの穴を開けていた。大木には、幹にも枝にも無数の穴が開いていた。




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