3 year 君と過ごした最後三年  (version.mystery and suspense)


「これ……」


時ひとつにいろんなことが浮かんだ。時にひとついろんなことが沈んだ。


そしてどの言葉も、それ以上繋ぐことはできずこぼれ落ちて消えいった。


眼がにじみ、すべてがゆがみ、姿が、彼を追う眼が静かにそれをさらっていった。


頬を伝いひとつ、涙がまたひとつ、落ちてはじけ消えいった。


この日、わたしははじめて学校をさぼった。二十五分かけて歩いてきた道を、二十五分掛けて家に戻った。


熱っぽい、頭痛くてめまいする。と母に偽り部屋に戻った。


花粉症といってはみたけれど、眼は充血しまっ赤に腫れていた。眼薬も効果を失くし、不要な液体と化していた。


冷(さ)めて冷たいはずのクロワッサンは温かい味がした。


甘いはずのコルネはしょっぱい味がした。


濡れたハンカチがその横にあった。



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