heart to heart2 キセキのつづき
小児科でも、心臓とか特殊な科は、専門の先生が担当することが多い。

だから、律が担当するのは不思議じゃないんだけど…


「今もね、採血するのに、ずーっとあやしてくださって、やっと…」


そう言ったとき、処置室から出てきて、こっちにやってくる律が見えた。

3歳くらいの子供を抱っこしてる。


「うちの子、道重先生なら大丈夫なんですよ。他の先生がダメでも、先生なら“わかった”って言って、採血させてくれるんです」


律は、泣き疲れた様子の子供の背中をなでながらやってきた。

私を見て“おー”とだけ言って。


「翔太くん、がんばりましたよー」

「ごめんなさい、泣き叫んでましたよね?大変だったでしょ?」

「いいえ、なー?翔太?もう泣いてないもんなー?」


律はそう言って笑っていた。

その様子を見ると、胸が痛んだ。

なんとなく、律が“お父さん”になったときのことを想像して。

私……

子供産めないんだよね。
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