マザーレスチルドレン
───お前なんか生まれてこなければよかった。


殴りながら母親が出て行ったのは全てアユミが悪いからだとなじった。


アユミのまだ幼く華奢なその身体には生傷が絶えることはなかった。


アユミは何度も家出を繰り返したが、父親は執拗に見つけ出すと否応なしに連れ戻した。


『逃げ出そうなんて考えても無駄だ』


父親にそういわれると、アユミは慄然とし、生まれてきたことを後悔した。
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