武闘派

「ちょっと千穂、あの男子誰？」

朋ちゃんがいかにも興味津津といった表情で聞いてくる。

「知らない。隣のクラスだっけ？」

何度か見た事のある顔だったと思う。

「何だろうね。呼び出しとかドキドキしない？」

「そうかな。」

「もう、千穂はクールなんだから！もっとこう、青春しなよ！」

朋ちゃんは目をキラキラさせて話す。

朋ちゃんは"恋愛"がとにかく大好きなんだ。

私だって、恋愛に憧れる部分はあるけど、他の女の子と比べると少し疎い自覚もある。

「あ、保志くん！」

朋ちゃんは突然大きな声を出して、教室に入ってきたばかりのやっちゃんに手を振る。

「なに？」

友達と話していたはずのやっちゃんは、朋ちゃんの声に気がついたのかこちらに歩いてきた。

「千穂、今日の放課後告白されるから！」