ビターな恋
教室の扉が開き、担任の先生が入ってきた。

「えー、一年間このクラスを受け持つ福井だ。よろしくな‼

じゃあ、自己紹介してもらおうかな。出席番号一番から‼」


一番前、一番端に座っている子が立ち上がり、自己紹介を始めた。


亜梨紗はおどおどしている。自己紹介が苦手なのだ。


徐々に亜梨紗の席へと近づき、ついに出番がやってきた。


「えっと…東中学校から来ました、大山亜梨紗です。」


「大山?君、もしかして大山京平の妹さんか?」

先生が身を乗り出す。


「あ、はい。兄をご存じですか?」


「ああ。あいつは面白い生徒だったなー。お兄さんは元気かい?」


「はい。ただ今日は講義が抜けられないらしくて…」


「あいつもしっかり大学生やってんだな。

…おっと、ごめんな。大山さん、ありがとう。じゃあ次‼」


亜梨紗は席に着いてほっと胸を撫でおろした。



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