追いかけっこ(仮)


「ほら、お前も鴿芭邸行くんだろ。
早く行くぞ。」

「あ、うん。」


私は、保健室のベッドから降りて、
保健室から出ようとする龍樹を追いかけた。


「……。」

「……。」


風音の家に向かっている道中、
沈黙が流れる。

私はなんとなく気まずくなり、
話題を探そうとした。


「あ、あのさ、」

「あ?」


私の少し前を歩いていた龍樹が振り返る。

“あ?”って……、


「ヤクザみたい。」


私は思わず呟いた。


「はぁ?」


少し不機嫌そうに私を睨む龍樹。


……うん、ヤクザだ。



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