追いかけっこ(仮)
何であのとき伊次くんにキスしたのか……。
自分でも、よく分からないんだ。
「だよな。
わりぃな、変なこと聞いて。」
「いや……。」
「教室、戻るか。」
「あー、うん。」
私と伊次龍樹は教室の前まで来た。
「はぁーー、女子様からの質問攻めなんだろうなー。」
ため息と同時に思わず出た言葉。
「あぁ……、だろうな。」
伊次龍樹が思い出したように頷いた。
「面倒くさい。」
私は小さく呟いた。