戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
平野部長の秘書は私と同じく派遣社員で、私と仲が良かった。明るくポジティブで私と同じ名字で、アラサー。部長はそんな彼女を可愛がっていた。


彼女は2010年12月末日に派遣期間満了を迎え、今は正社員の女の子が部長秘書を勤めている。


そんな彼女が2011年の元旦、ニューイヤー駅伝に平野部長と一緒に行くけれど一緒に行かないかと私に声をかけてくれたのだ。


毎年、元旦に群馬県で行われている実業団が集うニューイヤー駅伝。その年の優勝候補として私たちの会社が注目されていたとかで、彼女は、「会社を辞めればこういう機会もなくなってしまうから」と言っていた。その気持ちは良くわかる。


そんなわけで、大晦日の真夜中、平野部長の運転する車に乗せていただき群馬県へ向かった。


平野部長との付き合いは後にも先にもこの一度きり。顔を合わせれば挨拶はするけれど…私が部長秘書の女の子と仲が良くなければきっと、部長はこんな風に私に会いに来てくれるなんてことはなかっただろう。


そうは思ってもやはり、この一度きりの出来事を大事にしてくれたことは素直に嬉しい。


私がどんな風に平野部長に取り入ったのかと言われようとも。


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