プラスマイナス、


「あたしが月に力を飛ばせばいいんでしょう?」

「残念。もうその計画はおじゃんになったよ。」



予想外の返答に、紘奈は耳を疑った。



「え…?」

「あんたの存在は消える。新しい惑星をつくってね」

「ど、どういうこと?!惑星をつくるのは、マイナリーがいなきゃできないはずでしょ…?!」

「いるんだよ、俺は見つけたんだ。君にぴったりなマイナリーを」

「なにを…言っているの…」



考えてもいない事態に紘奈は混乱した。

マイナリーとして考えうるひとつの顔を思い浮かべたが、すぐに打ち消した。

―――彼が今、ここにいるわけがない。



「マイナリーとご対面する前に、ひとつ聞かせて。………あれは、どういうつもりだ?」



それがなにを指しているのかすぐにわかった。



「あなたの大好きな斎木さんの口癖でしょ?“鍵は、ひとつだけ”。」




< 123 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop