プラスマイナス、



―――こいつも狂っている、斎木さんと同様。


昔の斎木と同じ目をしている。

世界を嫌い、理想郷を夢見ている、そんな自分に酔いしれているような。



紘奈が恐怖を感じたとき、背を向けている椅子から立ち上がる人影が見えた。




「俺と君は、この宇宙に浮かぶ惑星となり」




その声は、聞き覚えがあった。

しかしにわかには信じられなかった。




「その惑星の、アダムとイヴになる。」




影はゆっくり振り返り、紘奈と目があった。

信じることのできなかった予想が確信となり、紘奈は息を飲んだ。





「ね、紘奈サン?」







同じクラスの定岡が、微笑んでいた。




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