プラスマイナス、


まだ渋い顔をしてる僕を見て、紘奈はうーんと唸った。



「じゃあじゃあ、学校では吉岡くんって呼ぶよ。今はまさくんでいい?」


多分紘奈なりの妥協案だろうと、了承した。

単純にクラスで呼ばれるのが恥ずかしいだけだし。


正直、また紘奈が僕を“まさくん”と呼んでくれることに嬉しくなった。



「ていうか、なんでここにいるの?」


見ると、まだ寝起きでパジャマの僕に対して、紘奈はもうすでに制服を着ていて、身だしなみもきちんと整えている。


「待ち伏せ。一緒に学校行こうと思って。」




ええと。

伝えたいことはわかるけど、意味をはき違えてる気がする。



「…待ち伏せする人が、自ら待ち伏せしてるって本人に言ったり、わざわざ相手を起こしたりするかな」


「だって、まさくんと同じぐらいに起きたら絶対置いてかれちゃうと思ったの。
でもまさくんを起こすところから始めたら、確実に一緒に行けるでしょ?あたし頑張って早起きしたんだー!」




この話の噛み合わなさはなんだ。



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