プラスマイナス、



「ま、転入生がいないお陰でお前とも久々に学校行けるし、いっか」


彰は僕を見てニカッと笑い言った。


よくもまぁ思ってもいないことを…

しかし不思議と悪い気はしない。



「紘奈がいないから俺と学校行けるって………彰は紘奈にあんまり興味ないんだな」

「んー、ある意味興味はあるけど。俺は女にうつつを抜かしてるほど暇じゃないしな」

「まさかホ…」

「誤解すんな!男との恋愛はまあぁったく興味ねーから!」




まぁそんなこととっくに知ってるけど。



でも、事実教室内で彰と紘奈が関わってるのは見たことがない。

みんな好奇心で紘奈に群がるのに、彰だけ興味を示さない。



関わってるといえば、僕と紘奈が登校中に彰が声をかけてきた時だ。


紘奈の苗字が「指宿」ではなく、「斎木」になっていて、驚きのあまり学校をサボってしまった日。





“やめて!!”





そういえばあの日のあの時、紘奈が彰にそう叫んでいた。


< 70 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop