政府より魔女へ

魔女

ひんやりと冷たい森の中。

俺は道に迷ってしまっていた。

彼女は不在なのだろうか。

「ここ、さっきも通った気が....」

確か、軍が侵入したときも、迷った挙げ句外に出てしまったとか言っていた。

俺は出さないって言ったのに、首相のやつが出すとか言いやがって。

もしかしたら、わざと迷路にしているのか。

だよな。

捕まえられるってわかってて、簡単に来させるような馬鹿なやつ、いないよな。

「リラ...、俺は君に会いたいだけだ」

俺は木肌に触れた。

ごつごつして、たくましい。

いつも、ここの空気は違うと思っていた。理屈ではわかっている。しかし、見ても何の変哲もない。だから余計に不思議だ。

はるか昔から絶えず、変わらず繰り返されてきた営み。

俺たちはその一瞬と呼べる時代の中で、こんなにも大きく変えてしまった。


人間は勝手だ。

勝手すぎる。

「ごめん、リラ。君を裏切った。君を守れなかった。」

急に、森がざわめく。

木が揺らいで、なぜか“道”が見えた。

俺は足を進めた。

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